短編映画La Main des Maitresは、世界中のアニメーションフェスティバルで数々の賞を受賞し称賛を得た、美しいスチームパンクのファンタジーアニメーションだ。このプロジェクトは、若いアニメータグループに新しいアイデアを探求しその才能を示す機会を与えるものとなった。エイドリエン・“カユース”・トゥーペ、ルッキー・ドラットル、クレマン・ドラットルの3人はこの短編アニメーションに全力で取り組み、その結果、極めて優れた作品が完成した。

La Main des Maitresではビジュアルエフェクト制作にHoudini Apprentice HDが使用され、大爆発にともなう煙や、流血、落下物、瓦礫などが作成された。Apprentice HDの非営利ライセンスはこの独立プロジェクトの趣旨に最適で、チームは定評のあるHoudiniのパーティクルやダイナミクスツールを使用するチャンスを得ることができた。


La Main des Maîtres 投稿者 -CaYuS-

La Main des MaitresのVFXリーダーであるエイドリエン・“カユース”・トゥーペは、プロジェクトの始動時、Houdiniの使用経験がほとんどなかった。数冊の本とApprentice HD版、そして友人のエイドリエンからの手引きで、すぐにスキルを構築した。

「La Main des Maitresは、私にとってHoudiniを使用した初めてのプロジェクトでした。」エイドリエンは言う。「これをきっかけに、今後も使い続けるつもりです。Houdiniを使っていて戸惑うことはひとつもありませんでした。ショットを構成する手順がいつでも示されていて、Houdiniのノード原理によって、スクリプトをまったく書かずにインタラクティブに作業を進めることができました。」

煙と瓦礫の表現

爆発にともなう煙は、パーティクルシミュレーションのすべてのパーティクルポイントにメタボールをコピーしてボリュームを追加して作成された。そして、セットジオメトリを衝突ジオメトリとしてタグ付けし、キャラクタをマットシャドウを元に吹き飛ばされるようにした。HoudiniのMantraレンダラで、Billowy Smokeボリュームシェーダを用いてエフェクトのレンダリング処理が行われた。

瓦礫や落下物の作成には、リジッドボディシミュレーションが用いられた。HoudiniのShatterツールやCookieツールを使ってモデルを分割し、基本的なRBDシミュレーションを走らせたあと、Time BlendやTime Shiftを使ってモーションを微調整し、場合によっては、特定のパーツについて個別にキーフレーム設定を行った。

流血表現

流血表現についても、パーティクルシミュレーションをパーティクル フルイド サーフェイサーと組み合わせ、さまざまなショットで使われた粘性形状を生成した。パーティクルは、キャラクタが銃弾を受ける部分にコピーされたポリゴン形状から放出された。次いでキャラクタを衝突オブジェクトに設定して重力を適用し、流血シミュレーションを行った。血液は一定色の赤マテリアルを使ってMantraでレンダリングされ、ショットは完成した。

他のショットでも同一エフェクトの再利用が行えることで、短編アニメーションの制作は大きく改善された。ただ単にネットワーク内の影響するノードを変更するだけで、全く異なるシミュレーション結果を得ることができた。これにより、オリジナルのネットワークを簡単に再利用できるようになり、チーム内の誰もが独自の流血エフェクトを2分程度で作成することが可能になった。

「Houdiniは、前工程に戻ってあらゆるパラメータに手を加え、それぞれのエフェクトのルックを改良することができます。」エイドリエンは言う。「エフェクトの技術的な側面に費やす時間を減らすことで、クリエイティブな決断により多くの時間をかけることができるのです。Houdiniを使うことで、アートディレクタは大勢からなるアーティストチームに頼らずに、こうした決断を独自に下すことができます。限られたリソースを考えれば、これは私たちにとって非常に重要なことでした。」

La Main des Maitresの制作には2〜3の他のソフトウェアパッケージも使われたが、Houdini Apprentice HDはそうした他のソリューションとさまざまな形で統合された。カメラアニメーションはチャネルファイルとしてXSIからインポートされ、MDDがポイントキャッシュとして使われた。一つのジオメトリファイルとアニメーションされたMDDのポイントキャッシュを組み合わせ、キャラクタのアニメーションを行った。highend3d.comからダウンロードしたプラグインを使ってMayaからOBJシーケンスをエクスポート後、ジオメトリシーケンスとしてHoudiniにインポートして、アニメーションされたキャラクタを共有した。その後、インポートされたシーケンスにビジュアルエフェクトが適用された。

今や、La Main des Maitresはアニメーションフェスティバルに引っ張りだこだが、アーティストたちは次の試みに挑み始めている。エイドリエンはロンドンのFramestoreでエフェクト テクニカルディレクタとして働いており、クレマンはさまざまなプロジェクトに取り組み、ルッキーは同僚たちとともに自らの会社を設立しアニメーション開発を企画している。この素晴らしいプロジェクトによって、この先数年間、彼らは間違いなく多忙になるだろう。