テイラー・スウィフトのような人気アーティストのミュージックビデオを手がけるチャンスに恵まれるビジュアルエフェクトスタジオは稀であるが、ロスアンゼルスとニューヨークに拠点を置く Ingenuity Studios は、テイラーの『Blank Space』や『Bad Blood』、『Out of the Woods』など、オンライン視聴数が合計 10 億回を上回る上に、それぞれにおいて複雑なエフェクトが要求される制作に従事した。

特に『Out of http://www.cialisgeneriquefr24.com/achat-cialis-en-ligne-quebec/ the Woods』においては、Houdini の機能を大いに利用し、伸びていく蔓や雪崩、砂、氷のシミュレーション、CG による狼など、わずか 3 週間で 100 のショットを完成させた。

まず検討しなければならなかったのは、CG による狼の作成についてであった。狼の毛は本物のようである必要があったが、こうした作業には通常非常に時間がかかる。Ingenuity でクリエイティブディレクター兼 VFX スーパーバイザーを務める Grant Miller 氏は言う。「狼の表現が非常に重要になることはわかっていましたが、時間的な制約を考えると、20 頭以上もの狼の毛のシミュレーションを行うことはできませんでした。」

その解決策となったのが、Houdini を使用した毛の生成である。Miller 氏は説明する。「Houdini のファーシステムによってベースとなる狼の毛並みを作成し、その上に VOP (VEX オペレータ) で作成したカスタムのクランピングを追加してから、RGB ディレクションマップを生成、 V-Ray Fur for Maya での読み込みが可能な形式で転送しました。これにより、シーンを極めて低負荷に保ちながら、アニメーション、グルーミングした無数の毛束のレンダリングが行えました。」

『Out of the Woods』 で中心的な役割を担う蔓については、撮影現場での実写によるものと CG を調和させる必要があった。「まず、浜辺や森の中で伸びていく蔓だけを撮影しました。」Miller 氏は言う。「浜辺のシーンでは実際に砂浜に落ちていた貝殻を、森のシーンでは小型の LED ライトをトラッキングマーカーとして使用しました。テイラーが蔓の間を進んでいくショットについては、アートディレクターの Bruce Everard が見つけてきた実際の蔓の束がベースになっています。これを撮影してリファレンスにし、ディープ合成やロトを多用して、ベースの蔓の間にさらに動く蔓を追加しました。」

蔓の一つ一つに個性ある動きをつけるため、「SpeedTree で長いまっすぐな蔓を作ってリファレンスに重ね合わせたあと、その Alembic キャッシュを Houdini に読み込みました。」Miller 氏は説明する。「Houdini のパスデフォームで、伸びていく蔓の配置とアニメーションを行いました。」

これによりアーティストは、伸びていく蔓のカーブやタイミング、ノイズを正確に制御することができた。「Playblast で繰り返しアニメーションを確認し、任意のシーケンスのルックや動きを時間をかけずに見極めることができました。」Miller 氏は言う。「ビデオの冒頭部分では、ほとんどすべてのショットで蔓のアニメーションが使われています。Houdini によって、既存ショットの蔓を再利用して設定にかかる時間を短縮し、蔓の動きをショットや音に調和させるためにマニュアルでの制御に時間をかけることができました。」

「浜辺の蔓と砂の相互作用については、ポイントベースのダイナミクスによってシミュレーションを行いました。」Miller 氏は続ける。「これは非常にうまく機能し、リアル感が大幅に向上しました。」Houdini を使用した砂のシミュレーションについて Miller 氏は付言する。「POP Grains ノードの Particle Separation パラメータを適切に設定することが重要で、この値が適切でないと砂がうまくまとまりません。」

『Out of the Woods』 の後半部分では、舞台はそれまでとは驚くほど対照的な氷で覆われた世界へと変化し、テイラーの手や体からは氷が生えてくる。このエフェクトは、Houdini で VOP と Copy SOP (サーフェスオペレータ) を用いて作られた。「氷の配置や向き、一般的な形状については、Houdini のペイントされたウェイトマップにより、細部にわたって制御を行いました。」Miller 氏は説明する。「こうしたウェイトマップは、後で氷の調整にも使用しました。」

この氷の世界では、Houdini を用いて大規模な雪崩も再現されている。「パーティクルシミュレーションを使って山から流れ落ちる雪を表現しました。」Miller 氏は言う。「2~3 分もあれば、シミュレーションの微調整とプレビューができ、雪崩の全体像や速度の検証が容易に行えました。その後パーティクルを VDB に変換して煙のソースを生成し、大規模な雪崩によって巻き起こる雪煙や乱流を追加しました。」

狼や蔓、氷、砂などの主要エフェクトのシミュレーションだけでなく、Ingenuity は Houdini によって、稲妻、舞い落ちる葉っぱや雪、テイラーの切り裂かれたドレス、蛍、火の粉や煙などから醸し出される空気感まで作り上げた。彼らはこうした映像的効果に精通しており、『Bad Blood』 や他のプロジェクトでも同様の手法が使われている。

Miller 氏は言う。「『Bad Blood』では、Houdini を使って煙や火、発煙筒、舞い落ちる火の粉、その他オートバイシーケンス中のさまざまなエフェクトなどを作成しました。発煙筒から出る煙の動きを決定するまでに時間がかかりましたが、幸いそのひと月ほど前に テレビ番組 『Brooklyn Nine-Nine』 用に煙のエフェクトを作成していたので、『Bad Blood』 では、発煙筒の位置をトラッキングして同様の設定を行うだけでした。こうしたアセットの再利用は、厳しい時間的制約の中での作業においては、非常に役立ちます。」

こうしたテイラー・スウィフトのプロジェクトにおける作業を振り返り、Miller 氏は、特に印象的だったのは Houdini の頂点ペインティングツールの使用法だったと言う。「任意サーフェス上のさまざまなアトリビュートの設定や表示を行うための素晴らしい方法です。Copy SOP の強力なスタンプ機能と併用すれば、複雑な設定やシミュレーションに芸術的要素を加えることができます。」