この夏、アクション満載の映画『ホワイトハウス・ダウン』の中で、アメリカ大統領官邸は大打撃を受けた。この作品のために、Prime Focus Worldのロンドンとバンクーバー、ムンバイのチームは、総力を結集して合計326のショットを完成させたが、彼らが手がけたVFXの中でも、この映画の見ものは、リムジンの高速カーチェイスシーンと、F22ラプター戦闘機3機によるホワイトハウス爆撃シーンの2つの爆発シーケンスだ。

Houdiniは、煙や爆発、水、さらには木々の葉のアニメーションといった細かな部分にいたるまで、様々なVFXの生成に用いられた。Houdiniを使って生成されたシミュレーションについては、必要に応じて他のレンダリングエンジンに出力される場合もあったが、VFXの大部分はMantraでレンダリングされた。

煙、爆発、破片の表現

ロケットの軌跡、爆発、そして言うまでもなくホワイトハウスの炎上のシーンは、この映画の中でも特に重要なVFXの要素だ。煙の軌跡や爆発の生成にあたり、Prime Focus Worldは、爆発によって生じるボリューメトリックな軌跡を表現するためのシステムを開発した。インプットにカーブを使用して設定を行った後、それぞれを個別のボリューメトリックコンテナに分割しシミュレーションを行った。

破片系のVFXの大部分はHoudiniのBulletソルバを使ってシミュレーションされた。シミュレーション後、生成されたデータはジッタ補正のために後処理され、再シミュレーションすることなしにショットの修正が行えた。

水の表現

ホワイトハウスの庭の噴水は、HoudiniのFLIPソルバをカスタムのripple/waterサーフェスソルバと併用して作成され、水面の波紋を素早く生成し、入力オブジェクトやパーティクルと水面との相互作用のシミュレーションを実現することができた。

Mantraによるレンダリング

全てのボリューメトリックなVFXを、ポイントレンダリングのパーティクルに合わせてレンダリングするために、HoudiniのMantraレンダラが使われた。法線は、シミュレーションの実行中または終了後に外挿した。レンダリングしたジオメトリやデータの大部分を遅延ロードで処理することにより、IFD生成のコンパクト化と効率化の維持を図った。

あるショットでは、ディープイメージマップを使い、様々な要素やジオメトリをボリューメトリックとマージした。合成作業では、グレーディングにディテールを追加するために、fireとsmokeのマスクチャネルを用いた。

Alembicの利用

Prime Focus Worldでは、日常業務を遂行する上でさまざまなツールが使用されている。そのため、複数ツール間でデータ交換を行うに際し、Alembicは理想的なファイルフォーマットだ。

ホワイトハウス・ダウンについては、Alembicをジオメトリキャッシュフォーマットとして使用し、MayaとHoudini間でのやり取りを行った。ソフトウェア間の互換性の問題に遭遇した際は、例えば、Mayaでのフレームごとのトポロジ変更などは、Alembicプロシージャルを用いてArnoldレンダラ内に直接ジオメトリを生成した。

Houdiniの提供するツールセットにより、Prime Focusは、塵や爆発、破片、水など、映画『ホワイトハウス・ダウン』におけるさまざまなVFXショットの生成とレンダリングが行えた。さらには、迫力ある一連のショットを完成させるために、そうしたVFXを他ベンダーのツールセットに統合するうえで必要な柔軟性も得ることができた。